男「はぁ…はぁ…ようやくだ」
男「こんな暗い中下向いて……拐ってくれと言わんばかりじゃないか」
男「おっと、悪い癖だな」
男(思ったことを声に出すのはよくないな。一人暮らしをしてると仕方ないか)
男「はぁ…はぁ…っし、今だ」
女「!? っきゃ! 」
男「静かにしろ……大人しくすれば何もしない」
女「」コクコク
男「ついて来い」
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女(疲れた……今日も面白く無い一日だった)
女(こんな日がまだまだ続くの? 私が死ぬまで? )
女(冗談じゃない! だったら死んだほうがマシだよ……)
女(死にたいのに死のうとしない……私って構ってちゃんなのかな)
女(いっそダレか私を殺してよ……)
女「!? っきゃ! 」
男「静かにしろ……大人しくすれば何もしない」
女「」コクコク
男「ついて来い」
女(びっくりした……本当に殺されるのかな)
男(まだこのへん数回しか来てないから迷子になった……)
男(このためだけに借りたアパートがこの近くだったはずなんだ)
男「よかった、あった」
男(また声に出してしまった。 呟く程度だから聞こえてないのが救いか)
男「おい、気をつけて階段登れ」
女「」コク
男「205号室だ入れ」
女「」ガチャ
男「適当なところに座れ」
男「いいか、お前は拉致され監禁された。 大人しくしていれば何もしない」
女「何が目的なんですか?」
女「復讐?」
男「そうだ、お前を人質として利用し政府から金を獲る」
女「私のために日本が動くの? 私はそんな価値のある人間じゃない」
男「お前にこだわってるわけじゃない、日本人で若い人なら誰でもいいんだ」
女「そっか……私じゃなくてもいいんだ」
男「2ヶ月だ。それで復讐を終了とする」
女「2ヶ月も!? 服とかご飯は?」
男「大丈夫だ、お前にはなんら不自由のない暮らしをさせる」
女「そ、そう……私は何をすればいいの?」
男「必要があれば俺がお前に頼む、だからそれまで大人しくしていろ」
女「わかった」
男「おい、なんでそんなに大人しく従う」
女「大人しくしろって言われたから」
男「そうだとしても道で襲った時もう少し声を上げてもよかったんじゃないか?」
女「[ピーーー]るなら[ピーーー]るで後悔なんてないし」
女「むしろ通り魔が私を殺してくれるのかな……とも考えてたから」
男(なんでこんなに寂しそうな顔をするんだ)
男(まだ十代なのに、死にたいだなんて)
女「それよりお腹すきました……」
男「あぁ、そうだな」
男(20時か)
男「少し待っていろ今作る。何か食べたいものでもあるか?」
女「え?」
男「リクエストはあるかと聞いてるんだ」
女「そ、それじゃあんまり高カロリーは……」
男「ふん、その体でダイエットか、炭水化物は?」
男(その体型でダイエットするのかよ……皮しかないんじゃないのか)
女「少しあればいいです」
男「わかった」
---数分後---
【女視点】
男「できたぞ」コトッ
女「ありがとうございます」
男「今日は時間がなかったから簡単なものになってしまったが明日からは大丈夫だ」
女「い、いえ」
女(こんな短時間で作れるんだ……)
男「そうだ、何かアレルギーはあるか?」
女「いえ、特にはないです」
男「そうか、好き嫌いは聞かないぞ」
女「大丈夫です。いただきます」
男「あぁ」
女(この春雨サラダおいしい……)モグモグ
男「冷凍の唐翌揚げだが食いたければ食え」
女「はい……あの、ご飯食べないんですか?」
男「俺が一緒のテーブルで食べてもいいのなら食べるが」
女「どうぞ食べて下さい」
男「そうか、じゃぁいただきます」モグモグ
男「男だ」
女「私は女です。よろしくっていうのも変ですか?」
男「お前に任せる2ヶ月も一緒なんだからよろしくでもいい気はするな」
女「そうですよね、ではよろしくです」
女「ところでお酒は飲まれないんですか?」
男「アルコール弱くてな、チューハイ一本で顔真っ赤だ」
男「だが酒は好きだ、冷蔵庫に数本入っていたはずだし」
女「私のことでしたらお気になさらず飲んでも構いませんよ?」
男「じゃぁ飲むか」プシュ
---2分後---
女(もう顔真っ赤! お猿さんみたいで可愛いな)
男「あぁーヤバイ身体暖かくなってきたな」
女(お酒が入ると口が軽くなるって聞いたことあるなぁ……)
女(聞いてみようかな)
男「んぁ? なんだ?」
女「日本に復讐ってなんですか?」
男「言い方が中2っぽいか? 簡単に言うと嫌がらせだ」
女「いえ、そうではなくて……なぜそんなことを?」
男「…………」
男「今ではこんなだらしのない人間だが昔は違ったんだ」
男「仕事に関しても金に関しても女に関しても全てに不自由しなかった」
男「いや、違うな。女に不自由しなかったって言うのは違う」
男「二十歳過ぎた頃だったか、俺は既に部下を多く持っていた」
男「仕事をこなしながら部下の面倒もしっかり見てきた」
男「自分で言うのも何だが人望、信頼は厚かったと思う」
男「俺は一度信頼した人間は絶対に見放さない、部下の中にもソレに相当する人間はいた」
男「嫁は本当によく働いてくれた。」
男「俺はコイツの身に何かあったら命すらも惜しくないと思うほど」
男「信頼できる人間は他にもいたがコイツだけは特別だった」
男「もちろん困っている人がいたら助けるしかし命をかけようとは思わなかった」
男「好きだったんだ嫁のことが」
女「その女の人とは?」
男「すまんなこれ以上は……今はまだ辛い」
女(泣いてる……)
女「そうですか、いつか話してくれますか」
男「どうだろうな……逮捕が先か死ぬのが先か」
女「死ぬってどういうことですか?」
男「冗談だ……逮捕が先かな」
男「さぁ、もう寝ろ。俺は浴槽で寝るから」
女「何も浴槽でなんて……同じ布団でなければ部屋でもいいですから」
男「ありがとう」
こうして長い一日が終わった
この人と話しているととても楽しい
でもまだお互い打ち解けられそうにない
なぜなら彼は犯罪者だから……
なぜなら私は人質だから……
彼が私の身近な人なら私は変われたのかな……
今日から2ヶ月間私は人質です。
---end---
シッー!
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