日本に設立されたIS学園、
女性にしか反応しない兵器、IS、インフィニットストラトスを運営するために設立された学園の
学生寮のプールで一人の少女が泳いでいた。
ゆったりとしたクロールのフォームでゆっくり泳いでいく、
三つあみにたばねられた金髪がクロールの動きに合わせて水の中で左右に揺れている。
休日の土曜の朝の準備運動だった。
彼女の名前はセシリア・オルコット。
IS乗りとしてイギリスから日本のIS学園に留学してきている留学生である。
イギリスからのIS学園への1つしかない留学枠を与えられるだけある優秀なIS乗りである。
30分ほど泳いだあと、プールからあがり、
IS学園寮のシャワールームに向かってシャワーを浴びる。
食堂で食事をとる前に談話室に向かった。
談話室に入るとオフィスビルの一室のような広い部屋の中に
観賞用の植物やソファーがいくつも置かれている。
彼女は備え付けの棚から今日の新聞を手にとってソファーに腰掛けた。
ソファーの隣の大きな窓からはIS寮の外の庭が一望でき、
窓から太陽光がやわらかく差し込んでいる。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1366954427
セシリア「中東情勢があまりよろしくありませんわね」
新聞の内容は多岐にわたる。
ヨーロッパの経済状況やアメリカの兵器動向、中東では国家間の小規模な武力衝突が起こっている。
セシリアが新聞の記事を読んでいると彼女の右から声が聞こえた。
「おはようセシリアさん。今日は早いわね」
声の方向に振り向くと、談話室の入り口から同級生が入ってきていた。
彼女は軽くあいさつをかわした。
セシリア「おはようございます。せっかくの休日ですから、有効活用したいものですわ」
同級生から紅茶を入れようかといわれて、それに応じると、
同級生は談話室の一角にある棚からティーセットを取り出して紅茶を準備し、
セシリアの座っているソファーの向かいのソファーに腰かけた。
セシリア「ええ、ありがとうございます」
笑顔で礼を言ってから、紅茶を口に含むと、アールグレイの香りと暖かい味が口腔内に広がる。
「新聞に何か面白い記事はあった?」
聞かれて、新聞の記事を反芻する。
セシリア「そうですわね。中東の武力衝突が少し激しくなってるようですわね。
エルサレフやカザールなどの宗教原理主義団体の動きも激化しているようですわ」
「中東にはイギリスの軍隊も介入したことがあるんでしょう?」
セシリア「ええ、我がイギリスも先進国のひとつとして世界秩序の形成に責任がありますわ。
イギリスのIS師団も介入しています。中東ではISはほとんど使用されていませんから、IS師団のプレゼンスは非常に高いですわ」
IS技術が発達しても、戦火の火種はなくなってはいない。
食料難、資源高騰、思想対立、特に後進国がひしめきあう中東は戦火のるつぼだった。
あとはアメリカの標準ISナインボールが第三世代の試験運転に入ったそうですわ」
「第三世代!?」
同級生は紅茶を飲みながら目を丸くした。
「ずいぶんと進んでるわね。日本なんて標準ISのチハ38式がやっと第二世代標準形に入ったばかりなのに。チハも早く第三世代に入らないかなぁ」
セシリア「さすが軍事的先進国のアメリカですわね。しかし専用ISは日本がぬきんでていますし、イギリスの標準ISも第三世代をにらんではおりますが、まけてはいられませんわ」
「そもそも予算に差がありすぎるわよ。アメリカのIS開発予算は日本とイギリスを合わせても足りないわよ。日本もこれでよく開発が進むものよね」
セシリア「日本の技術力と独創性には驚かされますわ。ですがそれでこそ日本に留学してきているかいもあるというものです」
彼女は新聞をたたんで席をたった。
「セシリアさん今日はどう過ごす予定なの?もしよかったらISの模擬訓練につきあってもらえないかしら。あ、もちろんセシリアさんの専用ISは出力1/3で」
セシリア「もうしわけありません。午前はIS学園都市に向かおうかと思ってますの」
IS学園都市はIS学園の近隣に位置しており、IS開発のための企業が集中し、アミューズメントや文化施設がひしめいている。
彼女は断りを入れてから、談話室を出て食堂に向かい、食堂で軽く食事をとってから、着替えるために自室に向かった。
セシリア「あら教官、おはようございます」
千冬がセシリアを見つけると、セシリアのほうに歩いてくる。いつもの抜け目のない目つきである。
千冬「セシリア、お前を探していたんだ。悪いが今日の休日はなしだ」
セシリア「そうなんですの?どのような用件なんですか?」
千冬「今日から五日間、AクラスのみなのものにはシチリアIS学園に向かってもらう」
セシリアは驚いていった
セシリア「えぇ、シチリアって、ヨーロッパのシチリアですか?」
千冬は抜け目のない表情のまま言う。
千冬「そうだ。一応授業の一環ということになっている。Aクラスの学生は全員0900までに飛空学園艦アレキサンダーに搭乗するように」
千冬ねぇはなんか気分でセシリアって呼んでみたかんじでしょうか
VIP規制くらってこちらにきましたが、未熟ながらちょいちょいとやろうかと思います
飛空学園艦アレキサンダーとは日本が所有する3つの飛空艦のひとつで、
全長700m、IS技術の転用により浮翌遊動力を獲得しており、この浮翌遊動力により特定空間に安定的に浮翌遊、飛行することが可能になっている。
学園艦には艦全部の200Mに及ぶIS射出用カタパルト甲板をはじめ、
授業用の教室や生徒の寝室、食堂、兵器ドッグ、屋上の空中庭園、学園艦後部のIS訓練ドームと
学園生活に必要な施設が広範囲に設置されている。
千冬「なにぶん急な決定でな。学園艦への搭乗は想定スケジュールどおりに行うように」
千冬がつかれたようにこぼすと、セシリアが青ざめた表情をしていることに気がついた。
セシリア「Aクラス!?シチリアに向かうのはAクラスだけですの!?」
IS学園に在籍する専用IS乗りは6名で、Aクラスに在籍するのは二名、
セシリア=オルコットとラウラ=ボーデヴィッヒのみである。
千冬はためいきをついて青ざめているセシリアに言った。
千冬「落ち着けオルコット、IS学園は日本の防衛拠点としても重要な意味合いを持っている。ある程度の防衛能力を確保しておくというのが委員会の決定だ。
ほかのやつらには抜けがけせんように言っておくから。はやく搭乗準備をすませろ」
千冬「・・・これでいいのか?」
携帯電話の向こうから陽気な声が返ってくる。
『オッケーオッケー。さっすがちーちゃんだね。迅速な対応に敬礼♪』
千冬「その呼び方はやめろ。それに私単独の力ではない。お前の名前を出せば委員会をおさえるのもそう難しいことではないしな」
ため息をついて通話をきろうとするとさらに電話から声が続いた。
『何もなく郊外授業がすむことを祈っているよ♪あ、あと中東地域を横切るときは注意しておいてね。最近ぶっそうだからさぁ』
初夏の涼しい風が歩道をゆく人をなでていく。
と、ビルや道や車や人を大きく黒い影が覆った。
上空を見ると、全長700メートルの巨大な艦体が都市を横切っていく。
艦体前部の200メートルのカタパルト甲板からはじまり艦体中部の空中庭園の緑の木々が通り過ぎ、
艦体後部の吹き抜けで中央部が中空の訓練用ドームと続く。
飛空学園艦アレキサンダーの姿である。普段はセキュリティ上の理由で海中をランダムに航行しているアレキサンダーが
IS学園の生徒を搭乗させ、上空を浮翌遊しつつ航行している。
生徒の寝室へつながる通路の手前に位置する談話室のソファーに座り
A組の生徒たちの話に耳を傾けていた。
談話室の窓からは飛空艦はすでに海上に出たらしく、波うつ海が横切っている。
「それにしても急だったわよね、今日の朝に通達があってすぐ搭乗よ?」
別の少女が答える
「なんでもシチリアIS学園からの要請もあったみたいよ。上のことはよくわかんないね」
「シチリアっていうとヨーロッパの南部でしょ?」
そういうと少女がソファの前にある机に設置されたインターフェイスを操作する。
すると机の上に立体映像でシチリア付近の地図が映された。
「温暖な気候、青いエーゲ海、A組の私たちだけシチリア旅行なんて運がいいわね。自由時間なんてあるのかしら?」
セシリアは紅茶を口に運びながら立体映像をながめた。
長靴のような形のイタリア半島からつながるシチリア半島は、ヨーロッパの要衝であり、
温暖な気候と美しい地中海に面したリゾート地でもある。
「シチリアIS学園っていうと、標準ISってなんだっけ?」
少女がインターフェイスを操作して情報を呼び出す。
「シチリアIS学園っていうと、第二世代型ISユーロガイツⅡを標準運用してるみたいね」
「そういえばシチリア学園からホストとして生徒さんがここに来てるらしいわよ」
「あ、そういえば黒髪の外国人がいたけどあの人かな」
セシリア「どなたかラウラさんがどちらにいらっしゃるかご存知ありませんこと?」
セシリアが尋ねると一人の少女が答えた。
「ラウラさんならたしか兵器ドッグにいたと思うわよ。ハプトマに合えるのが久しぶりだから」
セシリア「ありがとうございます」
セシリアはそういうと、ソファから立ち上がり談話室を後にした。
中央部ではISが管理されており、巨大な柱のまわりを囲むようにISが設置されている。
ここからISを着装して、中央支柱にそってエレベーターで上部のIS射出カタパルトに移動し、
高速でISを射出することができる。
セシリアがラウラを見つける前に、機械音が聞こえた。
「アーッ、セシリアちゃんだ。ひっさしぶり~」
声のするほうを振りかえると全長2メートルほどのハプトマがガシャンガシャンと音をたてて近づいてきていた。
セシリア「ごきげんよう。お久しぶりですわね。お体にお変わりなくって?」
ハプトマ「セシリアちゃんそれはいわゆるブリティッシュジョークってやつかい?機械の体の僕たちが体調に変化があるわけないじゃないかー」
ハプトマとは飛行学園艦アレキサンダーに6体搭載されている自律思考型戦車である。
体長は2メートルほどで、4本の足と足から出るホイールで移動する。また両腕の機関銃や車体の大砲などの火力を搭載しており。電子制御能力も優れている。
ドッグ内を見回すと、一体のハプトマと話し込むラウラの姿を見つけた。
さらりと伸びた銀髪に褐色の瞳と片方の目に眼帯、全身を律儀なドイツ軍服に包んでいる。
ハプトマは日本とドイツが合同で開発した自律戦車であり、ラウラとしては思い入れがあるのである。
ラウラは隣で話していたハプトマの褐色の車体に手を置いていった。
ラウラ「しばらく合わないうちに、こいつらはまたかしこくなったようだ。それに同期しているはずなのに個性のようなものまで伸びてきている。
まったくおもしろい戦車だ」
セシリア「あら、そうですの?」
そういってラウラの隣のハプトマに目をやる。
ハプトマ5号「あぁセシリアさん久しぶり。最近の世界情勢は混乱を極めてきているね、以前は核抑止力により大国間の戦争はもうないものと思われてたけど、
今やISによって核ミサイルの攻撃翌力がほとんど無力化されてしまったのは、白騎士事件についても示唆しているところのものだと思う」
車体の横に5のナンバリングがされた自律思考型戦車はさらに続ける。
ハプトマ5号「そこで思い出したいのがポランニーのエントロピーテーゼだよ。各国の抑止力が薄まり、戦争の可能性が強まるってことさ。まぁISが抑止力の代替をある程度はたしているし、
正体不明の脅威や各国のある程度の経済依存が抑止力にもなっているとは思うけどね。それにしたってISの機体は絶対数が少ないし、僕たち戦車の重要性もまだまだ捨てたもんじゃないよね」
セシリア「お、驚きましたわ。自律思考するといってもこんなに人間らしくしゃべるのですわね」
セシリアの隣にハプトマ2号が歩いてきていった。
ハプトマ2号「自律思考型たるわれわれはISみたいに戦闘力こそ上昇しないものの、思考能力は常に進歩するのさ。ねぇラウラちゃん、僕たち人間の仲間入りができたかな?」
ラウラはうつむいて考えていった。
ラウラ「どうかな、人によってはやはり機械は機械だというものもいるだろう。いくら人間のようにしゃべっても、人権が認められるわけではないしな」
ハプトマ2号「そっか~」
ハプトマたちが車体を前のめりにして残念そうにする。
ラウラ「だがお前たちの多重的思考回路が人間のものと違うのかという問いについては私は否定できないな」
そう聞いてハプトマたちが盛り上がっていると、艦内放送で千冬の声が聞こえてきた。
『IS学園指導教官の織斑千冬だ。A組の学生は0315までに0102教室に集合するように』
多段的に床が上昇し教室の前方を見やすくすることができるようになっている。
教室の窓を見ると、やはり海が続いており、飛空艦にあわせて鳥が飛んでいるのが見えた。
セシリアとラウラを含むA組の生徒が全員教室に入り、席につくと教室の扉が開き、千冬が入ってくるのが見えた。
千冬「全員そろっているようだな」
千冬は教室を見回しながら続ける。
千冬「現在飛空学園艦アレキサンダーは九州南部を航行中だ。これから東南アジアを迂回し、インド洋、中東地域を横切りシチリア島のシチリアIS学園に向かう」
ディスプレイに巨大な世界地図が映され、飛空艦の現在位置と予定航路が点線で表示されている。
千冬「シチリアIS学園では先方の生徒たちとの交流、共学によって切磋琢磨しIS能力の向上につとめてほしい。
そして今回シチリアIS学園からホストとしてむこうの学生に来てもらっている。入ってくれ」
千冬がそういうと、教室の扉が開き、見慣れない制服を着た8名の生徒が入ってきた。
「今回はわれわれのシチリアIS学園への短期留学を歓迎いたします。私はシチリアIS学園専用IS搭乗者サラ=ハースニールです。みなさんどうぞよろしくお願いします」
その少女は透き通るような白い肌にウェイブした黒髪で、胸元まである黒髪を束ねて肩から前方におろしている。
千冬「アレキサンダーは夜間に加速して、明日の朝にはシチリア島に到着する。それまでの間、交流をかねて彼女らと共同生活を行う。短い間だがな」
彼女は教室を見回していった。
千冬「ではハースニールに艦内の説明をしてやれるものはいるか?」
千冬がいうと生徒たちの中からひとつ手があがった。
セシリア「そのお役目はわたくしにお任せいただけますか?」
千冬が承諾すると、セシリアはほほえんで続けた。
セシリア「わたくしはイギリスからIS学園に留学してきましたセシリア=オルコットですわ。よろしくお願いいたしますわね」
二人の少女が歩いていた。
一人は腰まである金髪と透き通るような碧眼の少女、
もう一人は軽くウェイブした黒髪を胸元で束ねて肩からかけている赤みがかった褐色の目をした少女、
IS学園のセシリア=オルコットとシチリアIS学園生徒代表のサラ=ハースニールである。
計6機搭載することで安定的に浮翌遊、航行することが可能になっていますわ」
サラ「すばらしい兵器だね。空母は基本的に海でしか動けないけど、この飛行艦は海だけではなく陸にまで航行領域を広げている。
そこから常に整備されたISや戦闘機が即時発進することができる。まさしく移動する基地だ」
二人は学園艦の各施設をまわり、現在は兵器ドックに向かう通路を歩いていた。
寝室や談話室、食堂や大浴場やトレーニングルーム、アレキサンダー後部のIS訓練ドームは野球ドームのような観戦席で囲まれ、
中央は吹き抜けでウォーターフィールドを設置することができる。
作戦室と司令室は縦構造で司令室はかなりの広さがあり、司令室中央には巨大立体ディスプレイがある。
その司令室のイスはそのままエレベーター式に司令室下部の作戦室に移動することができるようになっている。
広い廊下を歩きながら少女は続ける。
セシリア「日本は現在3つの飛空艦を所持しており、ひとつはこのアレキサンダー、そのほかにアトモス、トールがありますわね。
IS学園の運営下にあるのがこのアレキサンダーというわけですわ」
サラ「ひとつの国が飛空艦をみっつも所有しているなんて脅威だよ。さすがIS発祥の地といっていいだろう」
セシリア「そうですわね。その点はわがイギリスも認めざるをえませんわ。イギリスも飛空艦ブリガンティアを運用しております。
加えてアメリカの巨大飛空艦バハムートやリヴァイアサンも無視できませんわ」
セシリア「こちらがアレキサンダーの第一兵器ドックですわ。こちらではIS学園のISを搭載しており、
また自律思考型戦車や戦闘機も収容しておりますの」
兵器ドックの扉がプシュッと音がしてひらいた。
ドックの中に二人が入ると、涼しい空気とかすかな油のにおいを感じ、広いドック内が開かれる。
中央の巨大な柱は天井まで続き、その柱にそってIS学園のISが設置されている。
セシリア「この中央の柱はアレキサンダー前部のカタパルト甲板につながっておりますの、出撃時には中央柱のエレベーターから
ISを甲板に移動し、カタパルトで第二速度までISを加速し発進させることができますわ」
セシリアがあたりを見回し、ハプトマのドックを見ると、
5機のハプトマはまったく動かず静止状態で、1機は見当たらず、どこかに出ているようだった。
セシリアは中央柱に歩きながら説明を続ける。
そして現在IS学園の標準ISチハ38式が10機搭載されています」
サラ「チハ38式!小回りが利いて整備性がいい、信頼性のあるいい機体だね」
セシリア「そしてこちらが・・・」
セシリアがサラを中央柱に導いてひとつのISに視線をうながした。
セシリア「わたくしが搭乗しております我がイギリスがほこる専用ISブルーティアーズですわ」
深い青の機体でそのフォルムはセシリアの体形にちょうどフィットするように設計されている。
そして背中には翼のように4機のビットが取り付けられており腰の部分にはライフルとカッターが刀のように装着されていた。
サラ「とてもきれいなISだね」
セシリア「デザインだけじゃありませんわ。出力、戦闘能力ともに標準ISのそれとは比べ物になりませんわ。ちなみにこの隣にあるのがラウラ=ボーデヴィッヒさんが搭乗する
専用ISシュヴァルツェア・レーゲンですわ。このISは現在整備中ですわね。こちらの説明は後ほどラウラさんにお任せいたしますわ」
セシリアは中央柱からドックの端の壁面に設置された5つのISのほうを向いた。
セシリア「サラさんも専用IS搭乗者なのでしょう?あなたの専用ISもご紹介いただけませんこと?」
サラにみちびかれて、壁面の5体のISに向かって歩いていく。
サラ「こちらの4体がシチリアIS学園の標準ISユーロガイツⅡだ。あとの3体のユーロガイツⅡは第2ドックに収容してもらってる。これはイギリス出身のセシリアさんなら見たことがあるんじゃないかな」
セシリア「ええ、イギリスの軍施設でも運用されておりますわね」
そして二人がユーロガイツⅡの列にそって歩いていき
サラ「それでこれが私が搭乗している専用ISグラビティカだ」
サラの長身にそったつくりで、スリムながらもマッシブな形状をしており、背中には6つの球体がうめこまれるように搭載されている。
セシリアはこの黒い専用ISをながめていった。
セシリア「この専用ISには飛行用のブースターがありませんわね。故障でもいたしましたの?」
サラはあーそれかとつぶやいていった
サラ「このグラビティカには飛行用のブースターはついてないんだよ。だからって飛べないわけじゃない。ブースターの機能を別の機能にさいてるんだよ」
二人が話していると、ガシャンガシャンと音がしてきた。
そちらを見ると、近づいてきていたのは自律思考型戦車ハプトマだった。
セシリア「あらハプトマ。どうかしましたの」
ハプトマは両手を上げ、車体をゆらして驚いた。
ハプトマ3号「えぇ~、セシリアちゃん知らないのかい?」
サラ「驚いた。これが自律思考型戦車かい?こんな風にしゃべる兵器は見たことがないな」
ハプトマ3号「いやーおほめにあずかり光栄です。僕はハプトマ3号。よろしくねサラ=ハースニールさん」
セシリア「で、いったいどうしましたの?」
ハプトマがセシリアのほうにむきなおっていう
ハプトマ3号「あ、そうそう。大変なんだって。やってるんだよ」
セシリア「やってるって何がですの?」
ハプトマ3号「ラウラちゃんとシチリアの学生さ、ISでやりあってるさいちゅうなんだよ」
とりあえずメール欄に「saga」と入れないと、この板は妙な変換されるので注意。
たとえば>>27の、浮遊動力装置→浮翌遊動力装置 みたいに。
あと、地の文が場面転換なしで2行以上連続で続く時は、空行は無い方が読みやすい。
廊下に隣接した階段をあがりカタパルト甲板につながる扉を開けた。
すると湿気のない乾いた風が吹き込み太陽のまぶしい日差しがさしこんでくる。
200メートルある甲板を早足にあるいていると東南アジアの光るような青い海と空が眼前に広がる。
甲板を100メートルほどいくと千冬とIS学園生徒とシチリアIS学園生徒が海のほうを見ているのが見えた。
生徒たちが口々にラウラさんいっけー、レミー負けるなーと叫んでいる。
千冬「来たかオルコット、それにハースニールも一緒だな。今IS学園とシチリアの両名が親善もかねて2on2をやっているところだ」
セシリア「しかし、シュヴァルツェア・レーゲンは今整備中でしたわよ」
千冬「そうだ、だからボーデヴィッヒにはチハ38式で出てもらっている。なれない機体だがな。見てみろ」
セシリアが海のほうを見ると4つのISが高速で移動しているのが見えた。
その中でチハ38式に身をつつみ、白銀の髪を光らせているのがラウラ・ボーデヴィッヒだった。
甲板ではハプトマ6号がきており、4機の映像を拡大して立体映像として映し出していた。
兵器ドックのハプトマたちはこの映像を見ていたからおとなしかったのだ。
ラウラのチハ38式が海面スレスレを飛行し、風圧でラウラを追うように海面が水柱を上げる。
40Mほど先に見える二機のユーロガイツⅡがライフルから指向性の榴弾を撃ってくる。
その三つの榴弾をランダム飛行でかわすと海面に突き刺さった榴弾が爆発し三つの巨大な水柱が上がる。
と、水柱が消えると、ラウラのチハ38式の姿が見えなくなっていた。
千冬「チハ38式に光学ステルスは搭載されていない。上にいないなら下だろう。見てみろ」
空中に浮かぶユーロガイツⅡの真下の海が揺らめき、水面の爆発とともに多重装甲ブレードを構えた海の中からラウラが急上昇してきた。
向かって右側のユーロガイツⅡに多重装甲ブレードを突き立てる。
ショートの白髪の少女が搭乗したユーロガイツⅡはラウラの多重装甲ブレードをシールドで受けたが右上方にはじきとばされた。
左側のユーロガイツⅡが反応したとき。突撃したユーロガイツⅡに運動エネルギーを放出し、静止したラウラのチハ38式が半回転し、
至近距離からライフルの砲口を向けていた。
甲板のIS学園の生徒が歓声を上げる。
千冬「いや、だめだな」
煙が晴れると、シールドで榴弾を受けたユーロガイツⅡが、後衛のチハ38式に榴弾を発射していた。
後衛のチハ38式に搭乗した少女が気がついたように声を上げた
「あっ」
爆音。ユーロガイツⅡから発射された榴弾が後衛のチハ38式に直撃した。
シールド容量オーバー。チハ38式は訓練用の安全装置を起動し戦闘モードを停止した。
千冬「チハ38式のライフルでは一撃でユーロガイツⅡのシールドを抜くことはできんな。そしてこれで2対1だ」
二機のユーロガイツは体勢を整えラウラのチハ38式から距離をとる。
セシリア「そんな、いくらラウラさんでもチハ38式でユーロガイツⅡ二機の相手は・・・」
ラウラがどうせめようか考えていると、白髪の少女がもう一人のユーロガイツⅡ搭乗者に何か合図した。
するとそのユーロガイツⅡが後方に下がっていく。
ラウラに向かって右手を手のひらを上にして突き出した。
そしてその指をクイクイと上下する。
ラウラ「・・・!・・・なめるなっ!」
近接戦闘をサシで勝負しようという合図である。
ラウラはチハ38式の多重装甲ブレードを抜いて、白髪の少女のユーロガイツⅡに向かって加速していく。
ラウラのチハ38式が高速でレミーのユーロガイツⅡに突っ込み、ラウラの高速の初撃をユーロガイツⅡのヒートジャベリンで受ける。
そのまま二機は高速でつばぜり合いをしながら海面近くから弧を描くように上昇していく。
ラウラはブレードを左下に振りかぶり、逆けさからユーロガイツに切りかかる。
するとユーロガイツⅡは急に減速しブレードの刃をかわすと再び加速してヒートジャベリンを横に振りかぶり
ラウラの顔にむかってないできた。
ユーロガイツⅡのヒートジャベリンをまともにもらえば安全装置がはたらきチハ38式の戦闘モードは停止する。
ラウラはジャベリンの刃が右顔の数センチにせまったところで体を腹部を中心に横に回転してかわした。
するとユーロガイツⅡはそのままのいきおいで回転し、ラウラのチハ38式にむかって背をむけた。
するとユーロガイツⅡの背部からなにかが射出され爆発し、煙がラウラのチハ38式とレミーのユーロガイツⅡを包んだ。
千冬「ユーロガイツⅡのチャフグレネードだ。攻撃力はほとんどないが煙幕にはなっているようだな」
ラウラのチハ38式は黒い煙に包まれ視界を失っていた。チハ38式のセンサーを起動しユーロガイツⅡを探索するが、
ユーロガイツⅡのチャフグレネードはミサイルのセンサーから自機をロストさせるミサイルジャマーである。
チハ38式のレーダーは妨害されユーロガイツⅡを見つけることができない。
レミーのユーロガイツⅡがかまえたヒートジャベリンが高速でラウラのチハ38式の左腹部に突き刺さる。
ラウラ「ぐあぁぁっ!!」
シールドが起動しているとはいえ、ラウラは腹部から空気をしぼりだされてそのままチハ38式は戦闘モードを停止し、高速で水柱をあげて海面につっこんだ。
セシリア「ああ、負けてしまいましたわ・・・」
甲板上ではシチリアIS学園の生徒たちが歓声を上げている
サラ「いや、ラウラさんはチハ38式になれていないんだろう?それであそこまで動ければたいしたものだよ」
ラウラが甲板に着陸すると、ハプトマ6号があわてて近寄ってきた。
ハプトマ6号「あわわわわ、ラウラちゃんだいじょうぶ?けがはない?」
ラウラ「ああ、大丈夫だ。そもそも訓練モードで怪我をすることなどない」
ハプトマ6号が安心したような身振りをしていると、もうひとりのチハ38式の搭乗者の少女がラウラのほうに歩いてくる
「その、ラウラさんごめんなさい。私がぼーっとして撃墜されたから・・・」
ラウラは表情を変えずに少女に言った。
ラウラ「いや、問題ない。その経験をよく見直して自分に活かすといい」
そういってラウラはおなじく甲板にもどってきたユーロガイツⅡ二機のほうに歩いていっていった。
そういったラウラのほうをみて白髪のIS搭乗者レミー=マグラスが口角をあげて言った。
レミー「もうちょっと期待してたんだけどなぁ。このアレキサンダーはすごいけどさぁ。IS学園の生徒にはがっかりしたよ」
それを聞いてラウラが表情を険しくする。
ラウラ「なんだと!?貴様、われわれを愚弄する気か!?」
二人の空気を察して、サラが仲裁に入る。
サラ「やめろレミー。すまないラウラさん。こいつは戦闘後で興奮してるんだよ」
サラはそういってから、セシリアのほうを向いていった。
サラ「セシリアさん。今度はきみのISを見せてくれないかな」
千冬「いいだろう。セシリアのブルーティアーズは出せるな?」
セシリア「ええ、整備は終わってますわ」
千冬「ではシチリアIS学園からはユーロガイツⅡを5機だしてくれ。これよりユーロガイツⅡとブルーティアーズで5on1を行う!」
シチリアIS学園の標準ISユーロガイツⅡである。
甲板に立っているセシリアは無線で飛空艦アレキサンダーの第一兵器ドックと連絡をとった。
セシリア「こちらセシリア=オルコットですわ。兵器ドックの佐藤田さんですか?わたくしのブルーティアーズの転送をお願いできまして?」
その連絡を受け、兵器ドックでは佐藤田と呼ばれた女性仕官がマニピュレーターを操作した。
すると兵器ドックの青いISブルーティアーズが上からどんどんと消失していく。
甲板のセシリアの体を上から青い燐光が包み、じょじょにブルーティアーズの機体に身を包んでいく。
セシリアの体を彼女の専用ISブルーティアーズがつつんだ。
深い青い機体が足先から首もとまでセシリアのからだにそうように着装される。
セシリアはブルーティアーズの戦闘モードを起動し、甲板からフワッと浮き上がり、海上に移動した。
それを確認した千冬が無線を操作する。
千冬「両陣営とも準備はよいな」
そういってしばらくすると。無線から声が聞こえてくる
セシリア「ブルーティアーズ準備できましたわ」
「ユーロガイツⅡチーム、いつでもかまいません」
アレキサンダーの甲板からはIS学園の生徒とシチリアIS学園の生徒が対峙したISを見ている。
千冬「はじめ!」
五機のユーロガイツはすぐに5機編隊でセシリアのブルーティアーズに迫った。
ラウラ「妥当な戦術ですね」
千冬「ああ、数の力でブルーティアーズを方位して攻撃しようということだ」
セシリアはブルーティアーズの右腕にもったレーザーライフルを右に見えるユーロガイツⅡに標準をあわせ、発射してからそのまま後方に加速した。
ビームライフルの青い光をかわすとすぐさま編隊を組みなおしてブルーティアーズに直進する。
サラ「専用ISといえどもさすがにユーロガイツⅡ5機に正面から激突するのは難しいようですね」
セシリアは後方に加速しながらビームライフルの引き金を引く。
ユーロガイツⅡ5機はそれをよけながらライフルから榴弾をブルーティアーズに発射しつつ迫っていく。
ISの移動速度は前進するより後進するほうが遅い、ブルーティアーズの後進速度とユーロガイツⅡの前進速度はほとんど同じだったが、
ユーロガイツⅡ五機から発射される榴弾をかわしながらで、ユーロガイツⅡがブルーティアーズに徐々に距離をつめていく。
ユーロガイツⅡ5機もそれに合わせて上空に上昇していく。
かなり上昇していくと、大気が薄まり、冷気をブルーティアーズのシールドが遮断した。
セシリアが下方を見ると飛行学園艦アレキサンダーがずいぶん小さく見え、下方150メートルにユーロガイツⅡ5機が迫っていた。
ブルーティアーズ背部の4機のビットを展開
下方のユーロガイツⅡ5機にビットから12発のビームを高速射出し
腰部にさしたビームソード、ブルーツヴァイの青く光る刀身を抜いて急降下した。
その回避行動を予測し、セシリアのブルーティアーズが急降下してくる。
回避行動をとる1機のユーロガイツⅡに真上からブルーツヴァイの青いエネルギー刃が迫った。
そのユーロガイツⅡは反応が遅れたが、その左右の2機のユーロガイツⅡが突き出した二本のヒートジャベリンが、
二本でブルーツヴァイの刀身を受け止める。
セシリア「いいコンビネーションですわね」
そのままブルーティアーズはユーロガイツⅡの編隊に交差して急降下していく。
ユーロガイツⅡ5機は編隊を組みなおすと再びブルーティアーズを追った。
ラウラ「苦戦しているようですね」
そういって千冬を見ると、千冬は少し思案した様子で、無線を起動した。
千冬「オルコット、聞こえるか?織斑だ」
セシリアはブルーティアーズを海面スレスレで高速移動させながらユーロガイツⅡの榴弾を回避し、無線に答えた。
セシリア「教官?どうしましたの?今いいところですのよ?」
千冬「オルコット、ブルーティアーズの出力は今何分の一に設定している?」
セシリア「ブルーティアーズの出力ですか?いつものように1/3にしてありますわ」
千冬の無線からのセシリアの声を聞いたサラが驚いていった。
サラ「あの専用ISは出力をセーブしてユーロガイツⅡを5機も相手にしていたんですか?」
千冬「オルコット、今回は特別にブルーティアーズの出力開放を許可する」
千冬からの無線を聞いて、セシリアは小さく笑った。
セシリア「いいんですのね?了解しましたわ。ブルーティアーズ出力制限解除いたしますわ」
ブルーティアーズのビームライフル砲である。
出力制限を開放したブルーティアーズのビーム砲はほとんどタイムラグなしで、
通常の質量弾の数倍のスピードで射出される。このビームライフルの回避は簡単ではない。
威力をコントロールした青いビームがユーロガイツⅡ二機のシールドを破壊し、戦闘モードを停止させた。
起動停止した二機にかまわずユーロガイツ1機が最大出力で突撃してくる。
セシリアの専用ISブルーティアーズは遠距離レンジを得意とする砲撃特化型の専用ISである。
近接戦闘にもちこめば太刀打ちできると踏んだのだ。
ブルーティアーズの後進速度をさらに加速させた。
最大加速で前進する1機のユーロガイツⅡをどんどん突き放していく。
「くっ、追いつけない・・・!!」
出力制限を解除したブルーティアーズの後進速度はユーロガイツⅡの最大前進速度をはるかに上回る。
セシリアの専用ISブルーティアーズに接近できるのは日本のIS学園の専用ISでも数機のみである。
と、前進していたユーロガイツⅡがブルーティアーズを見失った。
すぐにレーダーを起動してブルーティアーズの現在位置を探索する。
するとレーダーがユーロガイツⅡの真上に機影を発見した。
そして同時に、真上からブルーティアーズの青いビームが機体の背部に突き刺さり、
そのまま戦闘モードを停止し、海面にたたきつけられた。
二機ともがヒートジャベリンとライフルをかまえてブルーティアーズに突撃してきていた。
二機のユーロガイツの搭乗者は二人の顔がまったく同じで髪の色だけが赤と黒で違う、
おそらく双子のIS乗りだと推察された。
さっきブルーティアーズのブルーツヴァイの刀身を二つのヒートジャベリンで受け止めたのはあの二機のユーロガイツⅡだ。
セシリア「かまいませんわ、遊んでさしあげてよ」
セシリアがそういうとブルーティアーズはブルーツヴァイとビームライフルをかまえ、
突進してくる二機のユーロガイツⅡに前進していった。
ブルーティアーズの左右に展開し、ちょうどブルーティアーズが球の中心になるように、
ブルーティアーズをはさんで円状に移動しはじめた。
ブルーティアーズを中心に円状に回転する二機のユーロガイツⅡが波状的にライフルとヒートジャベリンで攻撃してくる。
そして上方に移動してきたユーロガイツⅡにビームライフルの標準をあわせると、
そのユーロガイツⅡはヒートジャベリンの投擲体勢に入っており、
レーダーを見ると背後の下方からもう一機のユーロガイツⅡがブルーティアーズに向かって突撃してきていた。
背後の下方から突進してきたユーロガイツⅡがそのヒートジャベリンをつかみ、
二本のヒートジャベリンをかまえてブルーティアーズに突進した。
セシリアのブルーティアーズは背部のビットを二機射出し二本のヒートジャベリンをうけとめる。
そして反転する間に左手にとっていたビームライフルの銃口を至近距離で発射する。
ブルーティアーズの青いビームが下方のユーロガイツに突き刺さり戦闘モードを停止させ海面に叩きつける。
同時にビームライフルの反動を制御せず反動で高速反転しつつ上方のユーロガイツⅡにブルーツヴァイの青いビームの刀身をたたきつけた。
ブルーツヴァイによりシールドは破壊され、
ブルーティアーズの運動エネルギーを受けて戦闘モードを停止させ、数十メートル上空に打ち上げられてから、
水柱を上げて海面に着水した。
千冬「それまで!セシリア=オルコットのブルーティアーズの勝利!」
甲板からIS学園生徒の歓声が上がった。
サラ「すばらしいよセシリアさん。すごい運動性能と戦闘能力だ。あのウロボロスの双子がああもやられるなんてね」
セシリアは笑顔で答える。
セシリア「ありがとうございます。英国の淑女としては当然ですわ」
セシリアはブルーティアーズを兵器ドックに転送してからラウラにいった。
セシリア「ラウラさん。あなたがたの雪辱はこのセシリア=オルコットがそぎましてよ」
そういわれるとラウラはばつがわるそうにした。
ラウラ「ふ、フン。私はそんなことを頼んだ覚えはない。イギリスのIS乗りなぞに借りはつくらんからな」
セシリア「ふふっ、お強がりにならないでくださいな」
千冬「ではIS模擬訓練はこれで終了とする。観戦していた生徒はレポートをまとめて後日提出するように。では解散!」
千冬の前にラウラ=ボーデヴィッヒが歩いてきて敬礼していった
ラウラ「織斑教官!このたびは醜態をさらし、IS学園の名を汚してしまい申し訳ございませんでした!
不肖このラウラ=ボーデヴィッヒ、いかなる罰も受ける所存です!」
そういって敬礼したまま千冬を見つめるラウラを見て千冬はそのままの表情でいった。
千冬「そうか、ではトレーニングルームで腕立て、腹筋、スクワット各500回」
ラウラ「はっ!了解しました!」
千冬「あとさっきユーロガイツⅡ二機と2on1になったときせめかたを考えていたな。チハ38式1機でユーロガイツⅡ2機に対峙したときのシュミレーションを3パターンレポートにまとめて提出しろ」
ラウラ「はっ!」
千冬「ではさっそくかかれ、あと夕食の時間にはちゃんと食堂に来るように」
本来ならこのような親善訓練で罰則など必要ないのだが、
ラウラの場合は何かさせてやったほうがむしろよいのだ。
敬礼してからその場をあとにするラウラと生徒たちを見送ると、千冬も司令室に向かった。
寛大に評価していただいてありがとうございます。
改行は適当にやっていこうかと思います。
勢いで立てちゃったこともありすでに心が折れてますが、期待は裏切りつつぼちぼちやろうかと思いますです。
ISは戦闘が面白いですねー
IS学園の生徒とシチリアIS学園の生徒は飛空学園艦アレキサンダー内の食堂で夕食を楽しんでいた。
セシリア「今晩のディナーはカレーライスですの?嫌いではありませんが、わたくしたちは小学生ではありませんのよ?」
アレキサンダーの食堂は500人を収容できるホール型になっており、
窓からは外の空中庭園デッキに出ることもできるようになっている。
現在飛空学園艦アレキサンダーはインド洋南部を飛行しており、
食堂の窓から出た空中庭園デッキからはインド洋上空にきらめくふるような星空が一望できた。
さらに遠方には少しかけた月が青白い光を夜の空に下ろしている。
空中展望デッキで食事をするもの、それぞれの学園生徒が混ざって会話するものもいる。
向こうからサラ=ハースニールと昼間の双子と白髪のレミー=マグラスが歩いてきた。
サラ「こんばんわセシリアさん。このカレーライスという日本の食べ物はとてもおいしいね。もう三杯もおかわりしちゃったよ」
「食べ過ぎですサラさん」
髪が赤い双子がいった
セシリア「お、お口にあったのでしたらなによりですわ」
サラは双子のほうに手をやっていった。
サラ「こちらの赤い髪のやつがアルジャー=アウシェンビッツ、黒い髪のほうがハリー=アウシェンビッツだ。
シチリアIS学園ではコンビネーションで二人の右に出るものはいない。それでウロボロスの双子と呼ばれたりもしてるんだよ」
紹介された双子は二人とも身長160cmくらいで、前髪はパッツンにきっており、後ろは肩にかかるくらいで真横に切ってある。
双子がセシリアに挨拶する
アルジャー「アルジャー=アウシェンビッツです。アルジャーと呼んでください」
ハリー「ハリー=アウシェンビッツです。みんなにはハリーと呼ばれています」
二人の紹介をうけて、セシリアはほほえんでいった。
セシリア「あらためて、わたくしはセシリア=オルコットですわ。よろしくお願いいたしますわね。アルジャーさん、ハリーさん」
アルジャー「まさかライフルの反動を利用して高速反転されるとは思いませんでした。してやられました」
セシリア「おほめにあずかり光栄ですわ。お二人のコンビネーションもすばらしかったですわよ。あれほどのコンビネーションは日本のIS学園でも見たことがありませんわ」
双子が照れてまったく同じ動作で右手で頭をかく、するとレミーが鼻をならしていった。
レミー「フン、ユーロガイツⅡ5機を撃墜したからっていい気になるなよ、そんなのはサラさんのグラビティカなら30秒で全機撃墜するさ」
アルジャー「いや、その話もどうなんでしょう」
ハリー「ユーロガイツⅡに搭乗してるのは私たちですよ?」
レミー「うるさいね、私は事実をいったまでだ」
サラ「セシリアさん、このあと何か予定はあるかい?」
セシリア「いいえ、何かありますの?」
サラ「ここには露天浴場があるんだろう?一緒にどうだい?裸の付き合いってことで」
そして大浴場はその反対の左舷側に設置されており。
こちらも室内の浴場から外の露天浴場に出ることができる。
セシリアとサラたちは、トレーニングルームで腕立て、腹筋、スクワット500回を終えて湯気をたてていたラウラもつれて、
飛行艦アレキサンダーの大浴場に来ていた。
大浴場の露天浴場で、サラとセシリアとラウラが湯船につかり、アルジャーとハリーはお湯をかけあい、レミーは浴場の外で体を洗っていた。
湯船からは外のインド洋が波打っているのが一望できる。空は星がギラつくように光っている。
セシリア「星がきれいですわね。あ、あれはベテルギウスではなくて?」
サラ「ラウラさんはトレーニングの習慣があるのかな?それにしては筋肉がつきすぎてないしなやかな体をしてるね」
ラウラ「ああ、女性用のプロテインなどで栄養補助をすればな、適度な脂肪をのこしたまま肥大化させずに筋力を鍛えることができる」
ラウラは普段から強度の強い筋力トレーニングを行っているが、腹筋などは割れておらず適度に脂肪がついたなめらかな曲線をしている。
以前はそのようなことはまったく気にしていなかったが、千冬に少女はかわいくしていろといわれてから、気をつけるようになっていた。
サラ「レミー、一緒にはいりなよ」
サラが促すとレミーが振り返らずに言った
レミー「いいえ、湯船に入るのはやめておきます。そんなよそものの『ダシ』が出た湯船になんて入れませんよ」
ラウラ「なんだと?貴様…」
セシリアがラウラをなだめる。
サラの静止を聞かずレミーは更衣室に入っていった。
それでISの腕をかわれてシチリアIS学園にきたんだ」
サラはタオルを頭にのせて遠い空を眺めながら続けた。
サラ「セシリアさん、18世紀のフランス革命のことは知ってるよね」
セシリア「ええ、存じ上げておりますわ。当時のイギリスはフランスの混乱を封じ込めようと苦労していたとされていますわ」
実際に歴史はそのとおりに動いた」
ラウラ「軍事独裁政権とはナポレオンのことだな。結局数万人の血が流れることになった」
サラ「現在の中東の情勢はどうだい。国とはまさしく飢えた狼だよ。単なるきれいごとでは解決できない。
あそこでは日常的に国境で紛争が起こり、それぞれの国が食いあっている。あれの終着点はどこにあるんだと思う?
バークの推察を借りるなら、中東地域は結局ドロドロに溶け合ったあと。一人の英雄が現れ、数十万人の血を流すことになるかもしれない」
セシリア「わがイギリスもそのようなことがないようにできる限りのことを行っておりますわ」
サラ「でもフランス革命のときはISはなかっただろう?今は核兵器のプレゼンスは下がってISがそれを代替するようになった。
だから自分たちがその力を使うことによって流れる血が減らせるんじゃないかって期待してるんだよ」
そしてサラは二人のほうを向き合っていった
サラ「それはそうと、二人は好きな男性なんているのかな?」
その言葉をゴングにして、セシリアとラウラが口論を続けたあと、
4人は湯あたりする前に浴室を出てそれぞれ寝室に向かった。
セシリアとラウラは寝室に行く前に談話室で紅茶を用意し
ソファに座ってインド洋を航行するアレキサンダーの窓から黒く揺れる海を眺めていた。
セシリア「朝アレキサンダーへの搭乗をつげられて、今はもうインド大陸の南ですわ」
セシリアの向かいのソファに座っているラウラがいう
ラウラ「ずいぶん遠いところまで来た。明日にはシチリア島だ。そういえばドイツから日本に来たときにもこんな気分になったな」
セシリア「そうですわねぇ・・・」
セシリアが日本に来たとき、英国のISの技術力の高さをしらしめようと思っていた。
しかし日本のIS学園にはさまざまなISがあった。高い技術を持った学園生徒たちがいた。
そしていつのまにか親しみさえ感じている自分に気づいた。
ラウラ「さっき兵器ドックでハプトマたちがこんなに遠くに来たのははじめてだと騒いでいたよ。遠出で興奮する兵器なんて聞いたことがあるか?」
セシリアは小さく笑った。
セシリア「ふふふっ、本当にそうですわね。一度わがイギリスにも連れて行ってあげたいですわ。きっと卒倒しましてよ」
セシリアはアールグレイを飲みおえると、ソファを立った。
セシリア「それではわたくしはそろそろ就寝いたしますわ。おやすみなさいラウラさん」
そうつげると、セシリアは談話室を出て寝室へ向かった。
エジプト空軍兵がロシア製戦闘機ブローツァを操縦していた。
こんな日に夜勤だとはついていない。昨夜は空軍のみなはパーティに行っていたに違いない
戦闘機が空を切って滑空する。
かなりの高度を高速でとんでいるだけあって、ゆれる体に冷気がかみついてくる。
今日は冷える、早く家に帰って、熱いシャワーで体を熱してから、冷えたイェールを流し込みたい。
異常、空軍兵がはねるようにブローツァのディスプレイを確認する
ロックドオン? ロックドオンだと!?
管制システムはこのブローツァがミサイルのレーダーにロックされているというのだ。
このエジプトの上空でいったい何にロックオンされるというのだ?
爆音。ブローツァにミサイルが着弾し、ブローツァはきりもみ回転したあと爆発して四散した。
黒く塗りこめられた空の中に小さい赤い火がともる。
そのそばを8つの影が高速で飛びさっていった。
「織斑指令!エジプト上空で異常を感知しました」
中東地域を航行中、千冬はアレキサンダー内司令室の司令官のイスに座り。
何事もなく航行できるよう祈りながら警戒していた。
千冬「なにがあった」
「所属不明の戦闘機F18が8機、エジプト東国境を越えて飛行中。警戒中のエジプト空軍所属機ブローツァが撃墜されています」
F18?アメリカ製の戦闘機が8機もなぜエジプト上空を飛行している?
千冬「中央ディスプレイに映像を映せるか?F18の進行先に何があるか調べろ」
情報官がマニピュレーターを操作する
「映像映します」
すると司令室の中央の10m四方の立体映像装置から8機のF18の映像が映る。
「出ました。F18の予測進路先にはエジプトの大都市がすう箇所、加えて核実験施設があります」
千冬の右下に位置する副官席に座っていた山田まやが言う
山田「このF18はこの核実験施設を攻撃するつもりでしょうか?」
一瞬平衡感覚を失ってグラつきそうになる
千冬「所属不明のアメリカの戦闘機がエジプトの核実験施設を爆撃するつもりか・・・戦争になるぞ」
山田「織斑教官、どうしますか?」
情報官「F18が施設を射程に捕らえるまであと30分ほどと予測されます」
山田「織斑教官、チハを準備しますか?」
現在のアレキサンダーの位置からエジプトまでの距離は600Kmある
千冬「いや、今からじゃチハでは間に合わない。ラウラ=ボーデヴィッヒとセシリア=オルコットを起こせ」
ビーッ!ビーッ!
警報音が鳴る。その音を聞いてセシリアが目を覚ました
セシリア「んにゅぅ、なんですのぉ?今何時ですのぉ?」
セシリアは寝ぼけて目をこする。
『起きろオルコット!緊急事態だ!至急第一兵器ドックに向かってブルーティアーズを着装しろ!おって説明する。大至急だ!』
千冬の声を聞いてセシリアは飛び起きた。
セシリア「は、はい!わかりましたわ!」
セシリアが兵器ドックの扉を開けると、すでにラウラ=ボーデヴィッヒが彼女の専用ISシュヴァルツェア・レーゲンを装着しているさいちゅうだった。
千冬『内容は今言ったとおりだ。至急ISを着装したのち、エレベーターのカタパルトとドッキングしろ』
セシリアが専用ISブルーティアーズを装着し兵器ドックの中央柱のエレベーターに向かう。
そういわれて中央柱を見ると、専用ISグラビティカを着装したサラ=ハースニールが中央柱の第二エレベーターとドッキングしているのに気づいた。
サラ「話は聞いたよ。私も協力を申し出させてもらった」
中央柱近くに来ていたハプトマが言う
ハプトマ1号「はわわわわ、F18がもし核施設を爆破して、核爆発がおこっちゃったら、、これって戦争だよね?」
ハプトマ5号「もしかしたらアメリカまで巻き込むことになるかもしれない、下手をすると第三次世界大戦にまで発展するかもしれないよ」
それを聞きながらセシリアはブルーティアーズを第一エレベーターとドッキングする。
ゴウンゴウンと音をたててエレベーターが上昇する。
すると兵器ドックの高い天井が近づいてくる。
兵器ドックの天井が開き、さらにエレベーターが上昇すると、上からカタパルト甲板がすこしづつ見えてきた。
薄暗い夜の甲板が誘導ライトで10m間隔で照らされその先には深い夜の闇が広がっている。
セシリアはブルーティアーズの脚部がカタパルトに接続していることを確認する。
ブルーティアーズの第一戦闘モードを起動、シールドを展開、ブースター機能をスタンバイする。
ドキン ドキン ドキン
そしてセシリアの隣20Mのところにサラ=ハースニールの専用ISグラビティカがエレベーターであがってきた。
サラに兵器ドックの佐藤田が通信する
『本当に発射していいの?その専用ISにはブースター機能がないんでしょう?』
通信を聞いてサラが応答する
サラ「問題ありません。もし高速射出してそのまま落下しても、ケガなんてしませんよ。
それとセシリアさん、むこうについたら私のISの半径50Mには入らないでくれるかい。巻き込むとわるい」
セシリアはグっとかまえた、目の前には200Mの滑走路とその先の暗い空が広がっている。
セシリア「セシリア=オルコット、ブルーティアーズ発進しますわ」
そういってスイッチを起動する。
カタパルトが高速で前進し、それにおされて高速でブルーティアーズの機体が加速していく
滑走路の誘導灯が高速で後ろにすぎていく
ブルーティアーズは弾丸のように加速し、飛行艦アレキサンダーの滑走路から暗い空へ第二速度で射出された。
夜の闇を切り裂いて高速で飛んでいく、
眼下では中東の大地が高速で後ろに過ぎ去っていく
と、隣にサラの専用ISグラビティカが併走してきた。ブルーティアーズの速度についてきている
セシリアがサラのグラビティカを見るとまったくブースターが起動している形跡は見られない。
サラがセシリアに通信する
サラ「私のグラビティカは重力操作に特化してるんだ。高度慣性制御機能によって運動エネルギーを減じさせることがほとんどない」
サラがそういうとグラビティカの足の先にリンゴほどの黒い球が発生し、サラのグラビティカはそれを強力に蹴ってさらに加速した。
サラのグラビティカはブルーティアーズのさらに先に飛行し、セシリアはブルーティアーズをさらに加速させた。
つまりグラビティカは空を走っているのである。このISに飛行ブースターは必要ないのだ。
二つのISはミサイルのようなスピードでエジプト上空を高速飛行するF18を追った。
セシリア「見えましたわ!」
セシリアのブルーティアーズとサラのグラビティカのセンサーがF18をとらえた。
その先にはエジプトの核実験施設の明かりが見えている。
セシリアはブルーティアーズをさらに加速させた。
サラ「先に行くよ」
サラがそういうとサラのグラビティカの脚部に大きい黒球が出現し、それをISで強化された両足で斥力を発生させながら蹴ると
サラのグラビティカがさらに加速し、弾丸のようにF18に迫った。
サラのグラビティカが核実験施設に迫るF18を追い抜く
とサラのグラビティカが通り過ぎた近くを高速飛行していた二機のF18に縦に大きな穴があき、
二機のF18は制御を失って大破した。
それと同時に残りの6機のF18が12発のミサイルを発射した。
セシリアのブルーティアーズがF18を追い抜くと超高速でミサイルに併走し、ブルーティアーズの背部から青いチャフフレアを発射した
4機のミサイルが青いチャフフレアで対象をロストし上空にそれて爆発した。
ブルーティアーズはさらにビームライフルを抜き青いビームを発射する。
ブルーティアーズの青い光が二機のミサイルを打ち抜き、爆発させた。
6機のミサイルが核実験施設に向かう、そしてその間にサラのグラビティカが高速飛行していた。
その4機がすべて消失した。
サラのグラビティカが付近に超重力加速場を発生させてミサイルを叩き潰したのだ。
グラビティカのはるか下方の地面で爆発が起こった。
サラのグラビティカは重力子ライフルを抜き、一機のミサイルを打ち抜く。
さらにグラビティカの右腕に重力子を発生させながら左に反転し
それで強力に目の前の空間を殴りつけると
グラビティカの右腕から高速ではなたれた重力子がはるか遠方で高速飛行するミサイルで炸裂しそのミサイルは消失された。
核実験施設の上空がミサイルの爆発で明るくてらされる。
セシリア「すごいですわ」
サラのグラビティカはすでに背部のビットを二機射出していた。
高速移動するF18四機にそれぞれ併走し、強力な重力加速場を発生させると
重力加速場にF18の機体がこそぎ取られ、大きなたてあながあいて墜落、大破した。
セシリアのブルーティアーズとサラのグラビティカに通信が入る。
『こちらシュヴァルツェア・レーゲンのラウラ=ボーデヴィッヒだ。ハプトマを持ってきた。最後の1機は武装だけ無力化してくれ』
F18にラウラのシュヴァルツェア・レーゲンが迫る。レーゲンの両足をハプトマ1号の手がつかんでいる。
ハプトマ1号「ラウラちゃん。もげる、手がもげちゃう~」
ラウラのシュヴァルツェア・レーゲンが高速でF18と併走し、ハプトマ1号をF18に乗せる
ハプトマ1号「うわ~すごい風。んーそれじゃぁちょっと失礼してーっと」
ハプトマの右腕からコードがのび、F18とドッキングする。
ハプトマの電子制御でF18の電子情報を探す。
ハプトマ1号「んー、んー、わかりましたー。このF18はカザーフのデータの痕跡を残しています。アレキサンダーに転送しますねー」
ハプトマ1号が再びラウラのシュヴァルツェア・レーゲンにつかまると、ほどなくしてF18が自爆した。
夜の闇の中、エジプトの核実験施設の上空を3機のISが飛行していた。
しばらくしてアレキサンダーのチハ38式とユーロガイツⅡが数機むかえにやってきた。
3機のISにアレキサンダーから通信が入る
『アレキサンダー司令室の織斑だ。よくやった。データは整理したあと日本に送信する。全員速やかにアレキサンダーに帰投しろ』
それぞれアレキサンダーに帰投しISを兵器ドックに設置したあと。
セシリアは寝室にもどりベッドに倒れこんだ。
とりあえずここまででひとくぎり
道行く人はせわしなさげに目的地に歩いていく。
と、ふいに道が黒くそまり、街を巨大な黒い影が覆った。
上を見ると、なにか巨大な建造物が上空を横切っている。
全長700Mの飛空学園艦アレキサンダーの姿である。
先ほど中東地域を横切り、地中海を越えてシチリア島に到着したのである。
アレキサンダーはシチリア学園都市を横切ってその先のシチリアIS学園に向かっている。
セシリアたちが窓からシチリアの様子をうかがっていると、
艦内放送から千冬の声が聞こえてきた
千冬『アレキサンダー司令室の織斑だ。本艦は目的地のシチリア島に到着した。各員アレキサンダーから降りた後整列するように』
セシリアたちが荷物を持ってアレキサンダーの昇降口から出る。
するとカモメたちの鳴き声とともに紺碧の海と抜けるような空、湿気のない乾いた気持ちのよい風が彼女らを迎える。
はるか眼下にはシチリアIS学園が見えた。
セシリアたちがアレキサンダーから降りて整列すると。
あとから千冬たちの教官たちが下りてきて、
ホスト側のシチリアIS学園の生徒と関係者たちの前に並んだ。
サラ「ようこそシチリアIS学園へ、みなさんの来訪を心から歓迎いたします」
サラの後ろから一人の男性が現れた。
年齢は40前後だろうか、180cmほどの長身でゆるくウェーブした髪が肩から腰の間くらいまで伸びている。
「シチリアIS学園都市市長のウィリアム=バークレーです。ようこそシチリアへ。皆さまを歓迎します」
そういいながら千冬の前に来て手を差し出す。
千冬「IS学園指導教官の織斑 千冬です。こちらこそ、光栄です。短い間ですがお世話になろうと思います。よろしくお願いします」
そういうと千冬は手を差し出しウィリアムと握手を交わした。
ウィリアムが上を見上げると飛行学園艦アレキサンダーの巨大な艦体があった。
ウィリアム「飛行学園艦アレキサンダー。実にすばらしい飛行艦ですな。実際にこの目で見るのははじめてですよ」
千冬「ありがとうございます。我が日本ではこの飛行学園艦アレキサンダーならびに飛行艦アトモス、トールを運用し、自国の防衛、脅威への対処ならびに世界秩序の形成に寄与しています」
千冬がIS学園生徒の列に向きなおっていった。
千冬「本日は自由行動とする!シチリアIS学園の見学やシチリアIS学園都市等の観光に時間をあててもいい。シチリアIS学園都市はここから南へ7キロほどだ。
そちらに向かうものはここから出ている電車等を活用しろ。では一時解散!1800時までには戻るように!」
シチリアIS学園の近郊に建設された紺碧の地中海に臨むこのシチリアIS学園都市はIS開発の企業がひしめいている。
やりのように伸びるビル群の中でひときわ長いのは全長230mのシチリアIS研究開発ビルだ。
セシリアは白いワンピースに身をつつみ、はの長い白い帽子をかぶり、
午前はシチリアIS学園都市を観光した後、午後は地中海が一望できるカフェで紅茶とスコーンを注文していた。
セシリア「すばらしい眺めですわ。地中海はなんど見ても心をときめかせますわね」
セシリアと一緒に丸テーブルに座っていたIS学園生徒がいう
「ほんとに素敵だわ。あとで海岸までいってみない?セシリアさんは何度か地中海にきたことがあるの?」
セシリアたちが話していると、隣に誰かが立っているのに気づいた。
「ねぇねぇセニョリータたち、シチリアへの旅行かい?もしよかったら俺たちと一緒にしない?」
身長の高い男たちが立っていた。困っている同級生をよそに、セシリアはそちらに目もやらず紅茶を飲みながら答えた。
セシリア「もうしわけありませんがお断りいたしますわ。わたくし自分より弱い男性には興味がありませんの」
「なんだってぇ?誰が弱いだってぇ?けんかぁ売ってんのかじょうちゃん?」
その男は2mはあろうかという大男で、丸太のような腕でセシリアの腕をつかむとギリギリとしめつけた。
それを見たカフェの店員があわててこちらに来ていった
「お客様、店内でのもめごとはおやめになってください」
大男が店員に顔を向けていう。大男の顔は弾丸をうけた跡があり右ほほがえぐれている。
「あぁぁっ!?なんだてめぇ?俺たちの邪魔をすんのか?俺たちラジキアファミリーに文句をつけようってのか?あぁっ!?」
店員はそういわれると、小さい声ですみませんといい店のうしろに下がっていった。
セシリアがどうしようかと逡巡していると、突然大男を含む数人の男たちが地面につっぷした。
地面に頭を打ちつけながら大男が言う
「いでぇっ!ああ!?なんだぁっ!?なんだこりゃぁっ!?お、おもいぃぃ」
男たちは地面に吸いよせられるように地面に倒れこんでいる。
セシリアたちが驚いていると声が聞こえた。
サラ「私の友人に何をしているんだい?きみたち」
声は専用ISグラビティカに身を包んだサラのものだった。
グラビティカで低出力で重力を加速して男たちを地面にはりつけたのだ。
サラ「セシリアさんたちに手を出すってことは、私に手を出すということなんだけど、そういうことでいいのかな」
そういうとサラのグラビティカがさらに重力を加速させ、男たちはさらに地面に押し付けられる。
「いいいっ、いだいっ、いだいいいいっ、やめてくれっ、ハースニールさん!やめてくれっ!あんたの友人だと知ってたら手を出さなかった!!」
そうしていると、カフェの前に黒塗りの車が止まって、そこから数人の男たちが降りてきた。
「ハースニールさん。申し訳なかった。うちのものが何か粗相をやらかしたようだ」
車から降りてきた黒いスーツを着た長身の男がいった。180cmほどと長身で、髪は黒く短く切っており、左目に眼帯をしている。
サラはグラビティカの重力加速を停止した。地面に貼り付けられていた男たちがよろよろと起き上がる。
大男がマッツィーニと呼ばれた男にいった。
「マッツィーニさん、ありがとうございます。お手数おかけしてすいませんでした」
大男が言い終わる前にマッツィーニと呼ばれた男が大男の顔面を殴りとばした。
大男が誰もすわってないイスに突っ込んで倒れる。
「馬鹿野朗!!ハースニールさんのご友人に手ぇ出してんじゃねぇ!!ぶっころされてぇのか!!」
マッツィーニがサラに向き直っていう
「すまなかったハースニールさん。ところでうちのビックダディがあなたにあいたがってる。どうだい今週末、うちの屋敷のパーティに来ないか?海上クルージングでもいい」
マッツィーニにいわれてサラが答える
サラ「シチリアIS学園の生徒がマフィアのパーティに出席するのかい?それはまずいだろう。悪いけどおことわりするよ」
「そこをなんとか、ダディが楽しみにしてるんだよ」
サラが続けていった
サラ「聞こえなかったのかな?私はことわるといったんだ」
「そうか、わかったよ。今回は本当にすまなかった。どうか許してほしい」
そういって男たちはいなくなった。
サラがグラビティカを転送して私服になるとセシリアたちに言った。
サラ「だいじょうぶだったかい?乱暴はされてない?」
セシリアが笑って答える
セシリア「ええ、大丈夫ですわ。ありがとうサラさん、たすかりましたわ」
サラ「みんなで休憩してたんだね。よかったら私も加えてもらっていいかな?」
セシリア「ええ、もちろんですわ。どうぞおかけになってくださいな」
紺碧に輝く地中海を背にセシリアたちが話していた。
セシリア「神隠しですの?」
サラ「端的に言うとそういうことだね。最近IS学園都市内で女性がいなくなる事件が頻発してるんだ。」
サラが続けて言う。
サラ「それに1月ほど前シチリアIS学園都市の生徒も神隠しにあったみたいで、行方不明になってるんだ」
驚いてセシリアがいう
セシリア「それは大変ですわね。警察の捜査は進んでおりますの?」
サラ「警察は一応捜査してるみたいなんだけど、あてにはならないのさ。シチリアの警察はマフィアと癒着してるし、だからってわけじゃないけど、まともに捜査されてるのかすらあやしいものなんだよ」
サラ「それで私たちも独自に何か調べられないかと思ってるんだけど、シチリアIS学園の許可が下りない。このシチリアIS学園都市からずっと南の地下研究施設建設予定地があやしいんじゃないかと思ってるんだ」
そういってサラがシチリアの観光地図を取り出して丸テーブルに広げる。
サラ「ここだよ。3週間前にもこの近辺で女性が行方不明になってる。ここは地下研究施設の建設予定地でね、でもその計画は途中で凍結されたみたいで、ここの巨大な地下空洞内は警察も把握していないんだよ」
セシリア「それは調べてみる価値がありそうですわね。シチリアIS学園都市を中心に行方不明事件が相次いでいる以上、どこかになんらかの原因がある可能性がありますわ」
サラ「そういうことだね。だからそこでIS学園のみんなにお願いしたいことがあるんだ。われわれがここを捜査するといっても市長の許可が下りない。でもIS学園側が独自に調査を申し出れば話は別だ。織斑教官にはすでに話をしてある」
セシリア「そうですわね、私はぜひ協力させていただきますわ」
セシリアが言うと。サラは顔をほころばせた
サラ「ありがとうセシリアさん。あなたたちにお願いしてよかったよ」
シチリアの大量行方不明事件を調査するために集められたのである。
その中にはセシリアやラウラ、サラやレミーやアウシェンビッツ姉妹がいた。
それぞれの生徒が口々に話し合っている。
「ねぇ聞いた?神隠し事件だって」
「女性だけ行方不明になってるんだってよ」
「シチリアIS学園の生徒も行方不明になってるとか」
その中のレミー=マグラスが口をあける
レミー「私は反対ですね。地下空洞の調査によそものを加えるのは」
レミーは机に肘をつけながら続ける
レミー「だいたい信用できるんですか?これはわれわれの問題でしょう、そもそも」
レミー「IS学園の生徒はちゃんと教育されてるんですかねぇ?教官が無能なんじゃないですか?」
セシリアはレミーのいっていることを聞きながらまずいと思った。レミーが続ける
レミー「教官が無能じゃしかたないですね。それじゃぁ生徒が使えないのも無理がない。むしろ彼女らがかわいそうですよ」
セシリアはセシリアの左後ろを中心に、教室の温度が5度は下がったように思えた。
セシリアの左後ろの席に座っていたラウラが席を立っていた。
セシリア(ま、まずいですわ)
ラウラが肘をつきながら席に座っているレミーのほうに向かって歩いていく。
ラウラ「殺してやる・・・」
セシリア(い、いけませんわ。さいあく死人が出ますわ)
レミー「お、なんだいやる気かい?」
レミーが立ち上がって両腕を上げる
セシリアがどうしようかとあわてていると、教室の前のドアがひらいた。
千冬「今からシチリア南部、地下空洞の調査のブリーフィングを行う!全員席につけ!」
千冬に言われて、ラウラは敬礼し席にもどった。
千冬「シチリア学園側とも協議した結果、チームを二つ分けることに決定した。
空洞調査チームはオルコット、アウシェンビッツ姉妹含めブルーティアーズとチハ38式3機とユーロガイツⅡ4機、加えてハプトマ2機をつける。
残りのものは学園に待機、事態に即応できるようにスタンバイしておけ。それでは準備にかかる!」
教室の生徒たちはそれぞれ席を立った。
シチリアの大地に300mはあろうかという大穴が口を開けていた。
セシリアたちが連れてきていたハプトマたちが口々にいう
ハプトマ2号「ひゃーこわーい!この穴の中を調べるんですかぁ?」
ハプトマ4号「女性ばかり誘拐とはどういうことなんでしょう?もしかして人身売買だったり?」
ハプトマたちが付近に電磁石アンカーをとりつけ車体の横から伸びるワイヤーを伸ばしてライトを照らしつつ穴に下りていく
セシリアとアウシェンビッツ姉妹たちはそのライトを頼りにISのブースターで浮遊しながら巨大な空洞を下りていった。
巨大な穴が口をあけ暗闇が迫ってくるようだ。巨大な穴の横にはいくつもの横穴がありそれも見えないくらい奥まで続いている。
しばらくして大空洞の一番したまで下りると一度数人がISを転送してライトを手にとり、
続く巨大な横穴に入っていった。
セシリア「みなさん瓦礫に足をとられないようにお気をつけになって」
暗い横穴をライトで照らしながら進んでいく。同時にハプトマがまわりをサーチしてマッピングしていく
ハプトマたちが四本の足でガシャンガシャンと音をたてながらいう
ハプトマ4号「暗いですね~。それに広い。いったいなにがあるかわかりませんよ」
ハプトマ2号「もしかしてオバケが出ちゃったりして~。ヒュードロドロ~」
そういって両腕を上げて腕をふる
ハプトマ4号「や、やめてよ~。でもこれは誰かいても不思議じゃないね。絶好のかくれみのだよ」
しばらくいくと巨大な空洞が二手に分かれているのが見えた。
ハリー「私とアルジャーは左の穴を調査してみます。セシリアさんたちは右の穴をお願いします」
ハリーとアルジャーのユーロガイツⅡ2機とハプトマ2号が左の穴に進む。
セシリアとIS学園生徒とユーロガイツⅡ2機とハプトマ4号は右の穴に進んだ。
セシリア「広いですわね・・」
ライトであたりをてらしながら進む、異常な痕跡は見つけられない。
ハプトマ4号「こ、こわいね~。こんなときは何か楽しい話でもしない?じゃぁ僕がするね。題して上級オイルが怖い」
ハプトマの話を聞きながらさらに巨大な穴を進んでいく。
ハプトマ4号「・・・そこで一言、そろそろ熱い上級オイルが怖いってね!どう?楽しかった?」
セシリア「そうですわね。でもオイルの味なんてわたくしたちにはわかりませんわよ」
ライトで天井を照らす。研究機材のためだろうか、天井は5mほど上でコードなどがふらさがっている
ハプトマ4号が遠くのアウシェンビッツ姉妹と調査しているハプトマ2号に通信する。
ハプトマ4号「セシリアさーん、2号から連絡が途絶えてますー」
「えっ」
それは赤い物体ではなく、むき出しになった筋肉だった。
筋肉をむき出しにした2.5mほどの怪物がそこにたっていた。
その怪物がチハ38式を装着した少女に牙をたてる。
「きゃ、きゃああぁぁぁぁぁぁ!!!」
セシリア「ちょっと、なんですのあれは!?」
異常を感知したとなりのユーロガイツⅡと別のチハ38式の少女が反応。
歯を立てる怪物に向かって榴弾ライフルを向け、引き金を引く。
ガチンッ
トリガーを押したが、榴弾が発射されない。
「え?ISが動かない?」
「弾がでない!!故障!?」
3人が着装していたISがすべて同時に起動しなくなっていた。
何が起こっているかセシリアが考えていると、
赤い筋肉をむき出しにした怪物がさらにチハ38式の少女に歯をたてる
ガキン ガキンガキン
「い、ひいいいぃぃぃぃい」
少女が気の抜けた悲鳴を上げる。
ハプトマ4号「動かないで!」
ダダダダダダダダ!
ハプトマの右腕の機関銃の銃弾が怪物につきささる。怪物はよろめいて後退した。
セシリア「ISが起動不能になっていますわ!原因は不明。みなさんISを転送してハプトマの後ろに非難なさって!」
千冬「どうした!?オルコット何があった!?」
大空洞のオルコットから通信が入る
セシリア『わかりませんわ。なにか巨大な化け物が、ISが使用不能に、、キャァァァァ!!』
千冬「ISが使用不能に?どういうことだ・・・通信兵、ラウラに通信を入れろ!」
セシリアたちはISを転送し、ハプトマの背後に非難する。
よろめいた怪物が再度ハプトマに向かって走ってくる。
ハプトマ4号「セシリアさんたちに手は出させないよ!」
ハプトマは怪物に両腕を向けて両腕の機関銃を掃射する。
怪物は両腕をクロスしてさらに突進してくる。
怪物がハプトマに多いかぶさり、ハプトマに牙をたてる
ガキン ガキンガキン
怪物の歯がハプトマの装甲をとおっていない
ハプトマは至近距離から戦車砲を発砲、怪物は大砲を受けてバラバラに吹き飛んだ。
ハプトマ4号「えっへん、どんなもんだい!」
セシリア「いったいこれは何ですの?」
と、そのとき空洞の5m上の天井が赤く光っているのがわかった。
その赤い光はどんどん天井に広がっていき。
天井が真っ赤に融解したかと思うと、何かが落ちてきた。
ハプトマ4号がその怪物に右腕を向けると
その左側からハプトマの体に金属の槍が突き刺さった。
怪物の右腕から鉄のやりが発生し、ハプトマに高速で射出される。
ハプトマがそちらのほうを向き、両腕をクロスして車体をガードする。
ガンガンガンと音をたてて金属のやりがハプトマの両腕を貫通し、突き刺さる。
と、すでにハプトマに迫っていた火の怪物がハプトマの上から腕を振り下ろしていた。
真っ赤に赤熱した腕がハプトマの車体の装甲を溶融させ、ハプトマを真っ二つに両断した。
ハプトマ4号「ふ、ふにゅぅ~・・・」
「動くな!!手を上げろ!!」
セシリアたちが声のしたほうを振り向くと、マシンガンをこちらに突きつけた人間が二人
こちらににじりよってきていた。
セシリアたちは両腕を上げた。
アレキサンダーの司令室の中央ディスプレイには大空洞の大穴の映像が映されていた。
司令官のイスに座った千冬は、アウシェンビッツ姉妹がもどってきていることを聞いて。
二人を司令室に入れた。
ラウラはシュヴァルツェア・レーゲンを着装してスタンバイし、サラとレミーはシチリア学園都市に呼ばれていた。
千冬「アウシェンビッツ、よくもどった。状況を報告しろ」
ハリー「それと、ISが使えないということもわかりました」
アルジャー「ハプトマがセシリアさんのチームに救出に向かったようですが、おそらく破壊されたようです」
ハリー「われわれだけでは救出は不可能と判断し、情報をとどけるため帰還しました」
千冬「いい判断だ。セシリアチームは何者かに捕まったようだ。大空洞にはシュヴァルツェア・レーゲンを向かわせる」
2000時 大空洞
セシリアたちは大空洞内の一室に閉じ込められていた。
セシリア「閉じ込められましたわね」
閉じ込められた部屋は15m四方ほどで、コンクリートで固められ、扉は鉄製だった。
セシリア「ISはどうですか?動きますか?」
セシリアはチハ38式とユーロガイツⅡを着装した生徒たちに尋ねた
「だめです。ちっとも起動しません」
「こうなると重い拘束具ですね」
セシリアはうつむいて考えた。
あの怪物はなんなのか?なぜISが動かなくなったのか?どうやって作られたのか?誰がなんのために?
2030時シチリア南部上空
ラウラが搭乗したシュヴァルツェア・レーゲンが、シチリア南部の大空洞に向かって飛行していた。
ラウラに通信が入る。
ラウラ「了解しました。『目』を起動します」
ラウラは左目の眼帯を取ると左目に転送した超高性能レーダー、マアクタル・オーゲンを起動し周囲を探索した。
するとシチリアの北から南の大空洞に向かって地下に偽装された巨大ケーブルがあり、それが高エネルギーで何かのデータを送信しているのがわかった。
ラウラ「こちらラウラ=ボーデンヴィッヒのシュヴァルツェア・レーゲン。大空洞への地下に高エネルギー反応の巨大ケーブルを発見。
ISの機能停止の原因である可能性があります。どうしますか?」
アレキサンダー内司令室の千冬から通信が入る
千冬『かまわん。レールカノンで破壊しろ。ISが使えるようになればオルコットたちが動ける』
ラウラ「了解。レールカノン、スタンバイ」
そういってシュヴァルツェア・レーゲンの右肩のレールカノンの砲身が稼動し砲身が前方に移動する。
ラウラが下方を向いて、地下の巨大ケーブルに標準をあわすと、レールカノンの圧縮熱質量弾を超電磁加速で発射。
超高速で発射された圧縮熱質量弾は地面を切り裂き、地中のケーブルを破壊した。
同時刻 大空洞内
「動く、動きます。チハ38式、再起動しました」
大空洞内の一室に捕まえられたセシリアたちのISが再び稼動しはじめた。
同時に通信が入る
ラウラ『シュヴァルツェア・レーゲンのラウラ=ボーデンヴィッヒだ。大空洞につながる巨大ケーブルを破壊した。通信がもどったようだな』
セシリア「ラウラさん?おかげでISが再起動しましたわ。こちらはわたくしたちで脱出いたしますわ。ブルーティアーズ転送」
セシリアがそういうと、セシリアの周囲を青い燐光が包み、上からブルーティアーズの機体があらわれ、セシリアの体を包んでいく。
ラウラ『こちらはISの起動をとめていたケーブルの元を調べる。健闘を祈る』
そういうと通信が切れた。
セシリアはブルーティアーズのエネルギーブレード、ブルーツヴァイを抜き鉄の扉のほうを向いた。
セシリア「みなさんここを出ますわよ。ISチームはISがない方を援護しつつ脱出してくださいな」
そういってブルーツヴァイの青いエネルギー刃で扉側の壁を四角に切り抜く。
部屋の外からは四筋の青い光が四角の形で漏れ、その線にそって壁が切り抜かれ中から
ブルーティアーズとチハ38式とユーロガイツⅡがそれぞれ飛び出してきた。
部屋の外にいた筋肉をむき出しにした怪物がセシリアのブルーティアーズに襲い掛かる。
セシリアのブルーティアーズはブルーツヴァイの青いエネルギー刃で怪物を一刀両断にする。
その隣からブルーティアーズに飛びついてきた怪物が後ろのチハ38式から射出された榴弾に直撃されバラバラに吹き飛ぶ。
セシリア「周囲の脅威を排除しつつ脱出ルートを確保しますわ!」
ラウラのシュバルツェア・レーゲンはチハ38式を2機ともない巨大ケーブルをたどって
シチリアIS学園都市上空を飛行していた。
シュバルツェア・レーゲンのマアクタル・オーゲンを起動し、
ビル群をサーチしていく。
巨大ケーブルは、シチリア学園都市研究開発ビルへ伸びていた。
ラウラ「他のビルには何もない上、このビルにだけ高度なジャミングがかけられている。ここだな」
ISの機能を無力化される可能性がある。
ラウラとチハ38式2機は地面に下りてからシチリア学園都市研究開発ビルに入っていった。
いったん煮詰めて再開しようと思いました。
セシリア=オルコットちゃんの冒険は始まったばかりだ!
行数使い切れ
そのハーメルンというサイトで3×41という名前でやってますよー。
0 件のコメント :
コメントを投稿