――工廠――
明石「なるほど。私が瑞鶴のために極秘で作った惚れ薬を」
明石「提督に飲ませるつもりが、間違って加賀さんの手に渡っちゃって」
明石「こうなったと」
加賀「好き」ギュッ
瑞鶴「何とかしてくださいお願いします」ペコリ
明石「何とかって言ってもなー。その惚れ薬の効き目、いつ切れるか分かんないし」
瑞鶴「お願いします。マジこれ耐えられない」
瑞鶴「何とかバレずにここまで来れたけど、他の艦娘に見られたら……」ゾクッ
瑞鶴「提督にも見られたら……!」ゾゾゾゾ
加賀「寒いの瑞鶴? 私が温めてあげる」
瑞鶴「やめて!! このトリハダはあんたが原因だから!!」
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瑞鶴「……はい。その通りですごめんなさい」
明石「仕方ないなぁ、とりあえず無効化する薬を作ってみるから」
明石「それまで何とか誤魔化して」
瑞鶴「どうやって!? 薬はいつ完成するの!?」
明石「加賀さんと相談しなさい。薬は最低でも3日はかかるわ」
瑞鶴「3日!?」
明石「惚れ薬の1週間に比べたら早い方よ。それに正規の仕事をやりながら頑張るのよ?」
瑞鶴「うう……あ、ありがとうございます……」
明石「まあがんばって」
瑞鶴「……」
――――
瑞鶴「ね、ねえ加賀……さん。くっつくのやめてくれない?」
加賀「嫌」
瑞鶴「なんで?」
加賀「大好きな瑞鶴と片時も離れたくないの」
瑞鶴(ひぃぃぃっ……!)ゾゾゾゾ
瑞鶴(加賀ってこんな性格だっけ? 薬の効果ヤバいなぁ)
瑞鶴(しっかしなー……何とかして言い聞かせないと)
瑞鶴「あのさ。私のことが好きなら、言うこと聞いてほしいな」
加賀「……いいわ。ただし条件がある」
瑞鶴「条件?」
加賀「キスして」
瑞鶴「」
加賀「キス、して」
瑞鶴「耳元で囁かないでぇ!!」ゾゾゾゾ
瑞鶴「それは無理!! もっと他にないの!?」
加賀「どうしてもダメ?」
瑞鶴「っ!?」
瑞鶴(か、可愛く首を傾げるとか……普段の加賀なら絶対ありえない)
瑞鶴「ダメ!! っていうか」
瑞鶴「これだけは言っとく。私は加賀さんのこと好きじゃないからね」
加賀「!!」ガーン
瑞鶴「だからその……恋人のやり取りとかできないし」
瑞鶴「求められても困るっていうか。ほら、そもそも女同士じゃん!」
加賀「酷いわ」
瑞鶴「へ?」
加賀「そんな言い方しなくても」ポロポロ
瑞鶴(涙!?)
瑞鶴「泣かなくてもいいでしょ! えっと、その……」
瑞鶴「好きじゃないっていうのは、つまり性の対象として見れないってことで」
瑞鶴「そういう方向の加賀さんの気持ちには応えられないってだけであって」
瑞鶴「人としては尊敬してるし……だ、大好きだから!!」
瑞鶴(意味不明ー! ってかホント何言ってんの私!!)カァァ
加賀「分かってる」グスン
加賀「ごめんなさい、ショックで自然と涙が零れてしまって」
加賀「もう大丈夫だから」
瑞鶴「そ、そう? ならいいけど」
瑞鶴「?」
加賀「3日間だけ、というのはダメかしら」
瑞鶴「何が?」
加賀「恋人の関係」
瑞鶴「いや……あのね」
加賀「大丈夫、そういう気持ちがないことは理解したわ。それに」
加賀「この感情が薬品によって作られた偽物だということも」
瑞鶴「……」
加賀「でも恋をするということが、こんなにも素晴らしいなんて思いもしなかったの」
加賀「だから、せめてこの胸の高鳴りが無くなるまででいいから……」
瑞鶴「付き合ってくれって?」
加賀「ダメかしら」
瑞鶴(って即答したいけど……そんな純情な瞳で見つめられるとなぁ)
瑞鶴「……」
瑞鶴「……ごっこ程度でいいなら」
加賀「え」
瑞鶴「その、キスとかディープな方向に発展しなくて」
瑞鶴「子供がやるような『恋人ごっこ』でいいなら」
加賀「受け入れてくれるの?」
瑞鶴「くれぐれも本気にならないでね」
瑞鶴「あと、他の艦娘の前ではいつも通りの態度で接すること!」
加賀「ええ、分かった……!」パァァ
瑞鶴(ホント誰だこれ。あのクールな加賀とは思えない)
瑞鶴(でも何とか説得に成功した……)
加賀「そうね。食堂へ行きましょうか」
瑞鶴「加賀さん、さっそくお願いね」
加賀「え?」
瑞鶴「いつもみたいにクールな態度で私を見下すような言動をすること。いい?」
加賀「見下すって……瑞鶴にそんなことできるかしら」
瑞鶴「いや元々やってたからね? 過去の自分に習うだけでいいの」
加賀「心苦しいけど分かったわ」
瑞鶴(大丈夫かな)
スタスタ
――食堂――
ワイワイ ガヤガヤ
翔鶴「あら瑞鶴! 加賀さんと一緒にいたの?」
瑞鶴「う、うん」
赤城「珍しいわね、2人が並んで座るなんて」
瑞鶴「午後からの演習について話したいことがあって。ね?」
加賀「そうね」
赤城「ますます珍しい」ジー
瑞鶴「あはは……」
瑞鶴「全く! こうなるから別々に座ろうって言ったのに!」ヒソヒソ
加賀「でも、どうしても瑞鶴の隣に座りたかったの」ヒソヒソ
瑞鶴「うっ」ゾゾゾゾ
瑞鶴「うん! もちろん!」
加賀「……。私は瑞鶴と2人きりで…」
瑞鶴「さあさあさあ!! 赤城さんもどうぞどうぞ!!」
赤城「え、ええ」スッ
瑞鶴「余計なこと言わないで」ヒソヒソ
加賀「ごめんなさい、つい」ヒソヒソ
赤城「内緒話までするなんて、どうしたの? 仲良くなったの?」
瑞鶴「へ?」
翔鶴「それが本当ならとっても嬉しいわ! どうなの瑞鶴?」
瑞鶴「そんなことないって! ねえ加賀!? 私たちの仲が良いだなんて、天と地がひっくり返ってもありえないし!」
加賀「!」ズキッ
赤城「加賀さん? どうしました?」
瑞鶴(ちょっと、そんな切なげな目でこっち見ないでよぉ)アセアセ
加賀「……いえ」コホン
加賀「そうね。そこの五航戦の言うとおり」
加賀「仲がいいなんてありえない話。演習の話し合いというのも仕方なくよ」
瑞鶴「ほら! そういうことだから勘違いしないでね!」
翔鶴「……でも」
翔鶴「やっぱり仲がいいように見えるわ」ニコッ
瑞鶴「ぐっ……」
瑞鶴(うう、もう手遅れか)
瑞鶴「……は?」
瑞鶴「いつも通りってどういうことですか!?」ガタッ
赤城「よく言うでしょ? 喧嘩するほど仲がいいって」
翔鶴「そうやっていがみ合ってるけど、2人のフィーリングはバッチリあってると思うわ」
瑞鶴「な!?」
加賀「」ピクッ
加賀「この娘とフィーリングがバッチリ? 冗談でもやめてくれるかしら」
瑞鶴(おっ! いいわよ加賀、その調子その調子!)
加賀「とっても不快だわ」ニコニコ
瑞鶴(笑顔!?)
翔鶴「ご、ごめんなさい」アセアセ
赤城「この話はやめましょうか!」アセアセ
瑞鶴(あれ? 焦ってる)
瑞鶴(あ、そっか。ひょっとして2人には、加賀がすごく怒ってるように見える?)
瑞鶴(普段クールなのに急に笑顔になったから、笑顔で怒りを隠してるみたいな感じに)
瑞鶴(でも……)
加賀「瑞鶴瑞鶴」ツンツン
瑞鶴「?」
加賀「私たち、フィーリングバッチリだって」ヒソヒソ
瑞鶴「……うん」
加賀「さすがに気分が高翌揚するわ」
瑞鶴「そっすか」
瑞鶴(これが真実っていう)
――演習――
ドーン! ドーン!
瑞鶴「くっ、相手の駆逐艦もやるじゃない!」
翔鶴「一航戦のお2人も素晴らしい動きよ。勉強になるわ」
瑞鶴「言ってる場合!?」
加賀(瑞鶴と一緒の艦隊がよかった)シュン
赤城「五航戦の娘たち成長してますね。嬉しいわ」
加賀(もし砲撃が瑞鶴に当たって怪我でもしたら……)ソワソワ
赤城「私たちも負けていられませんね、加賀さん」
加賀「そうね」バシュバシュ
加賀「あっ」
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